増改築

工事のきっかけ

  • トイレと化粧台がある部屋を増築し、ユニットバスなど水回りを集約したい
  • 増築に合わせて屋根瓦、外壁、エクステリアなど外回りも新しくしたい

工事前の状態

 築後25年が経過した鉄骨造スレート瓦葺き、外壁材がIGサイディング張りの建物です。

連絡を頂いて初めてお伺いした時は、全部壊して新しく建て直すか、リフォ―ムで対応するかで迷われ、結論が出ていませんでした。

施主様自身が書かれたレイアウトプランを元に工事内容を確認し、ご要望や今回の工事に掛ける思いなどを詳しくお聞きしました。

玄関を入ってすぐ左側に和式のトイレ、洗面化粧台と洗濯機を置いている部屋があります。

この部屋部分にユニットバスを導入してトイレを様式に変更する、さらに化粧台を交換することが優先事項です。現状では面積が狭いため、玄関側に一部増築することは確定していました。

鉄骨造で強度に問題が無いため最終的に一部増築と外回りの大幅なリフォーム工事で対応することとなりました。

工事の流れ

 工事は玄関左横の既設部分の解体作業から始まりました。最初に内部の柱や壁材、天井・床を全部解体します。

次にコンクリート基礎やトイレの台座部分をハツっていきます。作業で発生する大量の石や土、ガラ類を取り除いて処分します。

解体が終わると新しい基礎の工事に入りますが、その前に均した砕石の上からシロアリを防除するための薬剤を散布していきます。

増築部分については新築工事と全く同じの作業工程や施工方法で進めていくことになります。

新しい基礎は以前の基礎から1メートルだけ前に出しています。横幅は3メートルの長さとなっています。

型枠を組み立て、コンクリートの割れを防ぐワイヤーメッシュを敷いた上から生コンクリートを流し込んでいきます。

コンクリートが充分乾くまで10日間の養生期間を置いた後、型枠を外せば新しい基礎が出来上がります。

次に、大工さん造作作業が始まりました。基礎の上に防蟻処理を施したヒノキの土台を固定し、内部は鋼製束を使って大引材を支えています。

土台の上に強度に優れた集成材の柱を立て、屋根は垂木に野地板合板を張って下地を作ります。

床に張った構造用合板の右奥にトイレ、左側に洗面化粧台、床の無い空いたスペースにユニットバスを据え付けます。

増築部分の出入り用の木製建具は、既存の開きドアとの干渉を防ぐためアウトセット吊り戸を採用しています。

内部の間仕切り壁は間柱と間柱の間にグラスウール断熱材を入れ、両側を石膏ボードで挟んでビニールクロス貼りの下地を作ります。

大工さんの造作作業がすべて終了しました。窓にサッシを取り付け、透湿シ―トを張って外部胴縁で固定しています。

胴縁を横方向に留めていますが、鉄骨造の既存建物の胴縁と方向を揃えるためのものです。

屋根の上では瓦の葺き替え作業が始まっています。以前はスレート製の瓦でしたが、新しい瓦は淡路の本瓦ですから、今後塗り替えなどメンテナンスの必要性は一切無くなります。

古い瓦を下ろした後、野地板の悪い箇所を補修し、その上からルーフィングを二重に張って下地を作ります。

新しい瓦を屋根まで引き揚げ、整然と並べています。いぶし銀特有の輝きと落ち着いたたたずまいを備えています。

この建物は標高180メートルの高さにあって周囲に景観を遮るものがありません。屋根の上に立つと素晴らしい眺めを堪能することが出来ます。

外回りは屋根瓦だけでなく、外壁材も張り替えます。以前は金属IG材でしたが、新しい外壁材は現在主流となっているサイディング材です。

既存の胴縁に透湿シートを留めた後から、新しいサイディング材を縦張りに張り付けていきます。

張り付け方法は縦張りと横張りの二通りあります。今回は既存の胴縁が横方向のため、外壁材は縦張り用の中から選定しています。

外壁材を張り終えると、次は壁材と壁材のつなぎ目部分に雨水の侵入を防ぐコーキング剤を充填していきます。

コーキング剤の注入はサイディング材だけでなく、同じように今回新しく張り替えた軒天との接合部分にも施し、建物全体をカバーします。

既存建物の一部増築と大掛かりなリフォーム工事が約二カ月の工事期間を経て完了しました。

軒天はケイカル板を張って塗装し、破風板も塗り替えています。最後に軒樋と竪樋を取り付けて、すべての作業が終了しました。

増築部分の外観の最終仕上がりは、写真のようになりました。外壁は既存建物と同じサイディング材で統一しています。

屋根材には対候性が高く、軽くて経年変化にも強いガルバリウム鋼板を使用しています。

既存建物の南側と西側の二カ所にあった波板の差し掛けは撤去し、それと同じ場所にテラス式の差し掛けを新設しました。

屋根材には太陽からの熱線を遮断する機能を持ったポリカーボネート製の材料を使っています。

淡路産の本瓦を使った屋根の葺き替えも終わっています。見事なまでに表面が均一に焼き上がった瓦が整然と葺かれています。

中段から少し下に雪止め用の瓦があります。以前積もった雪が溶けて落下し、差し掛けが壊れた経験からの対策です。

増築部分の水回りの設備は機器本体を据え付けて配管を接続しました。手すりやリモコンを取り付け正常に動作することをそれぞれ確認しています。

トイレはリクシルのプレアスHSシリーズです。手洗い付きですが、ボウル部分が大きく深さもあるため、使いやすくなっています。
ご覧の通り、トイレ本体と両側の壁との間にかなり余裕があります。これは施主様からのご要望で間口を出来る限り広く取りました。将来的に車椅子を使うことがあっても万全にするための事前の準備です。

今回の増築工事の主な目的の一つがユニットバスの新設でした。とは言っても以前から使っていたユニットバスは解体せず、別の用途に利用することになっています。

ユニットバスはリクシルのアライズシリーズです。浴槽にデッキ水栓と循環アダプターの二つが付いています。
本来どちらか一つがあれば良い訳ですが、デッキ水栓から既設の電気温水器のお湯が出ます。循環アダプターからは新設したガス給湯器からのお湯が自動で出るようになっています。寒い冬場に電気温水器の低い湯温を解消するために設備を追加しました。

ユニットバスの入り口横に配置したのは、リクシルの洗面化粧台L/C16シリーズです。

横幅が75㎝のLED照明、スライド引き出しタイプです。扉材も上級グレードの仕様となっています。すべての工事が終わりお引渡しの時に施主様ご夫妻が述べられた感想です。『新築ではないので正直あまり期待はしていませんでした。ところが、日に日に生まれ変わっていく我が家を見るのが楽しくなってきました。完成してみると建物全体が新築同然となったことにとても驚いています。リフォームで良かったと改めて思っています』

リフォームデータ
工事期間
55日
費 用
831万9千円(税込、ユニットバス、トイレ、洗面化粧台はリクシル基礎・屋根・外壁・大工・内装・電気・水道・エクステリア工事など関連工事をすべて含みます)

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