・失敗しない住宅リフォームのコツ
・悪質業者から身を守る方法
・間違いだらけのリフォーム業者選び
・知っておきたいバリアフリー改修
事例1 「無料」ではすまない点検商法
「いま無料で屋根の点検をしております」と言って業者が飛び込みで訪問してきた。短時間で終了すると言われ、無料ならいいかと思い、承諾してしまった。
点検が終わると業者は、
「瓦がずれているので、このままにしておいたら雨漏りで家が腐って大変なことになる」と言われた。
不安になり、その場で高額な屋根の修理工事を契約してしまった。後日、別の業者に見てもらったところ、特に問題はないということだったので、解約を申し入れたが、応じてくれない。
これが点検商法と呼ばれているものですが、点検する箇所は屋根だけでなく外壁や床下、シロアリなどがあります。
床下の場合は、床下に入って「基礎がずれている。地震が来たらつぶれる」、「シロアリがいる。早くしないと家がだめになってしまう」などと不安をあおり、耐震工事や害虫駆除の契約を迫ります。
さらに、「いま契約すれば特別価格で工事をする」と言って、その場で決断を促すような状況をつくってしまいます。
特徴は、屋根や床下など確認することが難しい場所を点検することです。故意に瓦をずらしたり、割ったりされても、確認することができません。いずれにしても、「無料点検」と称して突然やって来る業者。そして悪い箇所を指摘し、その場で契約を迫るような業者には、注意が必要です。
事例2 「割安」が落とし穴のモニター商法
ある日、リフォーム業者を名乗る営業マンがやって来て、「近所で工事をしているから、ついでにお安くできますよ」、「いまなら特別モニター価格で大変お得ですよ」と外壁の塗り替えを勧められた。
価格は通常の半額というので契約したが、実際は相場より高額であった。工事もいいかげんで、業者に電話を掛けても連絡が取れず困っている
これがモニター商法というものです。屋根や外壁の状態をプロの目で見れば、リフォームが必要な時期を迎えているかどうかがわかります。
塗り替えリフォームでは、モニター商法が多いのが特徴です。特に外壁の場合は、ひび割れやシーリング材の劣化などを理由に塗り替えが必要であることを強調します。
しかし、何の理由もなく、特別にお得なことがあるはずがありません。価格につられて、うっかり業者の口車に乗せられてしまうことのないように注意して下さい。
事例3 何度もやって来る「次々販売」
「いま家のお掃除キャンペーンをやっています。格安価格となっていますが、いかがですか?」と営業マンに持ちかけられた。金額も高くなかったので、やってもらった。 しかし、掃除が終わった営業マンに「床下にシロアリの被害があるので、今すぐ薬剤処理をしましょう」となかば強引に勧められ、承諾してしまった。
ところが、後日営業マンがまた訪れ、「床下がジメジメしている。換気扇を設置して乾燥させなければだめです」と言われ、高額な契約を了解してしまった。
この事例は、一度契約すると、次から次へと追加の工事を契約させることから、
「次々販売」と呼ばれています。同じ工事を二度、三度と繰り返す例も多く見られます。
すでに紹介した「点検商法」や「モニター商法」と組み合わされて行われることも多く、数多くの被害が報告されています。
最初は、簡単な作業や工事から入り込んで相手を信用させ、次々に違う工事を持ちかけて契約させるのが特徴となっています。なかには、複数の業者が一人のお客を狙って、計画的に契約を繰り返させることもありますので、注意が必要です。
事例4 不安に便乗「耐震診断」
「耐震診断をします」と言って来訪し、公的機関の指定業者のような言い方だったので、診断を依頼した。「床下のコンクリート基礎部分が一部欠けていて危険だ」と言われ補強工事を契約。
さらに翌日、耐震補強の金具取付工事を勧められ契約した。
内閣府の調査によると、国民の約60%が災害の危険を感じていて、特に地震災害に対する不安が高くなっています。これが、悪質訪販リフォーム業者に狙われる原因となっています。
大地震が予想される自治体では、補助金制度があるにもかかわらず、耐震補強はおろか診断すら進んでいないのが実情です。近い将来大地震の発生が確実視されていることから、今後も「耐震診断」を悪用した手口が続くことが予想されています。
事例5 あの手この手「制度の悪用」
営業マンが突然やって来て、「雹(ひょう)被害によって下りる保険金内の工事」と勧誘され、屋根工事を契約した。
業者との契約金額と実際に保険会社から支払われる金額に大きな差があるので解約を申し出たら、保険金の3割を請求された。
これは、損害保険が適用されることを強調して工事契約を結ばせた事例です。支払われる保険金額によって工事代金は心配ないと誤解させ、契約に持ち込んでいます。
このほかにも、「介護保険が利用できる住宅の改修」と言われて工事を契約したが、実際は利用できなかったなど介護保険制度を悪用した事例もあります。いずれにしても、法律や制度のウラを巧妙に使った新たな手口が次々と現われる危険性があります。