リノベーション

リフォームのきっかけ

  • 取得した店舗兼用住居の建物をまったく新しい専用住宅に作り変えたい
  • 二階のLDKと水回りスペースを思い描いてきたプランで具体化したい

リフォーム前の状態

 築38年が経過した鉄筋コンクリート造5階建の建物です。以前は店舗兼住宅の建物でしたが、今回この物件を購入された施主様からリノベーションの依頼を受けました。

右写真は一階の店舗部分だった場所を南側道路から北方向へ撮影しています。

リフォームとリノベーションの違いですが、リフォームは「元に戻すこと」リノベーションは「作り変えること」ですから、言葉の意味するところに違いがあります。

リフォームは言わば、古くなった住まいを新築時に近い状態に戻すことです。

それに対してリノベーションは、古くなった住まいを一から作り直してその価値を高めることになります。

右の二枚の写真は二階を北側から南方向、南側から北方向を撮影しています。この二階部分が今回のリノベーションの主な対象エリアとなります。

工事の流れ

 工事は一階を北側と南側に分け、北側から始めることにしました。南側は工事関係者の駐車スペースとして工期の終盤まで現状のまま残しておきます。

北側部分は最終的に間仕切り壁を造作してドアを取リ付け、南側からも出入り出来るようにします。

北側半分の床の高さを現状から約10㎝かさ上げするために、土間コンクリートを打設します。

打設する前にひび割れ防止用のワイヤーメッシュを敷き込み、さらに排水枡のフタも同じ高さになるよう調整しておきます。

いよいよ二階の工事が始まりました。写真は浴室のブロック積み作業の様子ですが、通常のユニットバスではなく全面タイル貼りの浴室です。

浴室のサイズは間口が2.2m、奥行きが2.6mとかなり大きく、1.73坪相当の充分な広さがあります。

写真の前後左右に等間隔で並んでいるのは、プラスティック製の束です。二階の床の高さを調整するために採用しました。

木製の大引や金属製束の高さ調整では対応出来ないため、より低い調整が可能なプラ束を大量に使っています。

プラ束とプラ束の隙間には床下の断熱性能をアップさせるため、ロックウール断熱材を敷き込んでいます。

さらに高さのレベルを均一に揃えたプラ束の上から28ミリの構造用合板を固定して張り終えると、新しい床の下地が完成します。

床の仕上げ材はレッドパインの無垢材を使います。厚みが20ミリ、幅が135ミリ、長さが3850ミリと一般的に使われる無垢材よりすべての数値が大きい上級グレードの材料です。

しかも施主様が選んだのは、表面塗装をしていない、節有りタイプです。

床の仕上げが終わると壁の造作に移ります。間柱で下地の骨組みを作り、断熱材はグラスウールを隙間なく充填していきます。

LDK部分の天井は特に造作はしません。高い天井をそのままオープンにして開放感を演出する意図があります。

壁に石膏ボードを張り付け、下地が出来上がりました。床下には電気ケーブルや水道・ガスの配管が通っています。

壁際の床にはキッチンや食洗器、トイレや化粧台・洗濯パンの給排水の配管を立ち上げています。壁内にはリモコンやスイッチの配線を装備しています。

鉄筋コンクリート造の建物の内部にタイル貼りの浴室を作る場合、数多くの作業工程が必要になります。

サッシ窓から下の壁面がすべて青色になっています。これは二階にある浴室から万一の水漏れを防止するために行う防水工事の塗膜の色です。

すでに浴槽が据え付けられていますがここに至るまでにいくつかの工程を経ています。

浴槽のデッキとエプロン部分は、内部にブロックとレンガを積みモルタルで仕上げています。壁面にも薄くモルタルを塗るとタイル下地が完成します。

タイル貼りの工事が始まっています。浴室の面積が広いため、職人さんが二人掛かりで5日間を要しました。

タイルの種類は壁用と床用の二種類しかありませんが、輸入商品でしかも床のタイルは特殊な形状ですから、慎重に作業を進めています。

システムキッチンの取り付け作業が始まりました。今回の商品は施主様が自ら調達されています。

通常の供給ルートと異なるため、施主様がメーカーと交渉し、メーカーが自社の系列会社から直接作業員を派遣しています。

内装工事も終盤に近付き、クロス貼りが進んでいます。いつも丁寧な作業を身上とする大ベテランの職人さんで、全幅の信頼を置いています。

その弟子として頑張っているのが、4人目に当る職人さんです。親方の仕事ぶりを間近で見ながら修行しています。

工事開始から二カ月半の期間を掛けたリノベーション工事が竣工を迎え、施主様に予定通りの期日でお引渡しをすることが出来ました。

一階を南北に分け、北側に造作した部屋の出入り口です。駐車場で車を止め、ここから入って二階へ上がります。

今回のリノベーション工事の主な対象となった二階部分ですが、施主様の考えや好みが色濃く反映されています。

水回り設備は使用している状況を想定しながら、使い勝手にとことんこだわりを持って選定されています。
新しい機能も積極的に採用され、デザイン性の高い統一された空間が完成しました。
通路から木製ドアを開けると開放感のある浴室のガラスドアが目の前に飛び込んできます。脱衣室も洗い場の床と同じタイルを貼っています。

浴槽はドイツ製で長さ1.8m、幅が0.8mのビックサイズとなっています。全身を伸ばしてゆったりと入浴タイムを満喫することが出来ます。

エコキュート給湯器から送られるお湯にはマイクロバブルアダプターで作られた極小の泡がたくさん含まれ美容や健康に効果を発揮します。

二階玄関の親子ドアを開けて中に入ると、廊下を挟んで正面にトイレのドアがあります。

内部にはトイレ本体と手洗い用の化粧台を備えています。今回の水道工事では、建物内部はもとより、ベランダの水栓に至るまで全てお湯が使えるようにしました。
トイレはリクシル製の最上級タイプが導入されています。カラーやデザインなどここにも施主様のこだわりが見て取れます。

ランドリー室の南側ドアから入ると壁に洗面化粧台があります。トイレにある化粧台とサイズ違いになります。

出入り用の木製ドアは高さが2.2mと一般的なドアよりさらに20㎝高くなっています。他のドアも同じ高さで統一して重厚感を演出しています。

ランドリー室の北側ドアから入ると、掃除や家事など多目的に使える大きい手洗器を置いています。

洗濯機を据える排水用のパンは、戸建住宅用に市販されている中で最も大きいサイズです。洗濯機用の水栓はお湯が出る2ハンドルタイプです。

LDKから北方向を撮影した写真です。左側の間仕切り壁の内部は奥からトイレ、ランドリー室と並んでいます。

右側間仕切り壁は奥から出入り用の親子ドア、浴室となっています。照明器具もダウンライトやフットライトを使って雰囲気を盛り上げています。

施主様が今回のリノベーション工事で浴室と同じか、それ以上に力を込められたのがキッチン工事です。

三台のキッチンが並んでいます。右が壁付けのI型、中央がアイランド型、そして反対側の壁に収納カウンターを配置しています。

キッチンはいずれもTOTO製です。施主様は大阪のショールームを何度も訪ね、打合せを重ねながら最終的な仕様を決められました。

二台のキッチンの必要性について尋ねると、動線が短く多くの料理を作る時に効率的で便利だとの返事でした。

カラーやデザインのコンセプトはホワイトを基調とした洋モダンです。
キッチンや建具、クロスなども白色でトータルにまとめられています。

サッシ窓の手前側に内窓を取り付けています。この内窓も施主様こだわりの木製のサッシです。

リフォームデータ
工事期間
75日
費 用
1,000万(税込、水回り設備を除いて、土・木・建具・左官・内装・電気・水道など関連工事をすべて含みます)

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