車庫(ガレージ)
リフォームのきっかけ
- 建物内部が木の風合いや香りに満たされた木造のガレージを作りたい
- 普通の車庫ではなく、趣味を活かして楽しむことが出来る場所にしたい
工事前の状態
三世代が同居されているご家族宅のガ
レージの新築工事です。計画を立てても
う一年以上が経過したそうです。
鉄骨造ではなく木造への強いこだわりが
あり、やっとイメージ通りのプランに出
会えたとのことでした。
工事の流れ
ガレージの新築場所は、母屋の南側に
あるみかんを植えている庭の一部を利用
します。
まず重機を入れて敷地の表面の土をすき
取りしていきます。良質の土ですから処
分せずに周囲の畑に移します。
すき取りが終わると砕石を入れ、重機を
使ってしっかりと踏み固めます。
次に建物の廻りに捨てコンクリートを打
って基礎の土台を作り、外側の型枠を取
り付けていきます。
鉄筋の配筋作業に掛かります。床面は鉄
筋を20㎝間隔で縦横にめぐらしていき
ます。
配筋作業が終わり、基礎部分の内側の型
枠が出来上がれば完成です。
次はレッカー車で吊り上げた生コンクリ
ートを大きなバケツを移動させながら型
枠に流し込んでいきます。
バケツの下では左官屋さんが流し込んだ
コンクリートを上から押さえて均一にな
らしていきます。
今回のような基礎工事の場合、コンクリ
ートを2回に分けて打つこともあります
が、工期の短縮と強度を優先して1回打
ちとしました。
打設したコンクリ―トが充分に乾燥する
まで、約二週間そのままにしておきます。
コンクリートは乾いてくると表面が白っ
ぽく変化してきます。乾燥期間はできる
だけ長く取る必要があります。
暖かい好天が続いたお陰でコンクリート
が充分固まりましたので、型枠の解体作
業に入ります。
建物内部に一ヶ所基礎があるのは、この
建物が木造のため構造の強度を考慮して
配置したものです。
土間コンクリートの厚みは予定より増や
して25㎝としました。頑丈なベタ基礎
が出来上がりました。
基礎工事が終わり、建物本体の工事に入
る前に基礎の周囲に足場を組み立ててい
きます。
足場は作業中の職人さんの安全を守る大
事な設備ですから、しっかりと組み立て
ます。
いよいよ建物の本体工事に取り掛かりま
す。まず、防蟻処理されたヒノキの土台
を基礎に据え付けます。
コーナーから出ているのはホールダウン
金物と呼ばれます。地震などの強い縦揺
れの際に建物の土台と基礎が離れないよ
う強力に固定する金物です。
棟上げの前日に土台と柱の据え付け作業
を完了させておきます。
柱は杉材でプレカットされていますので
、土台の番号と柱の番号を合わせて溝に
埋め込んでいきます。
天候にも恵まれ、絶好の棟上げ日を迎え
ることができました。
前日立てた柱の上にレッカーで吊り上げ
た梁を降ろして連結していきます。
主な部材の組み上げは午前中で終了しま
した。
雨の心配がありますので、午後から大工
さんが屋根の下地となる野地板を二人掛
かりで釘打ちしました。
さらに筋交いを入れ、部材同士を様々な
補強金物を使ってそれぞれ固定していき
ます。
内部の造作作業が終わると外回りの作業
に移ります。
外壁の下地材には厚さ12ミリの構造用
の合板を使用しています。一人がカット
してもう一人が釘打ちしますので作業が
スムーズに進みます。
構造用合板の下地の上に防水の機能を持
つ透湿シートを貼っていきます。
さらにシートの上から胴縁を取り付けま
す。これで大工さんの作業はすべて終了
しました。
屋根の上では板金工事が始まりました。
最初にゴムシートにアスファルトを沁み
込ませたルーフィング材を屋根の野地板
に留めていきます。
ルーフィング材は防水機能の役割を果た
す材料で、屋根の低い方から高い方の順
で留めます。
屋根材はガルバリウム鋼板を採用しまし
た。ガルバリウム鋼板は耐久性、耐候性
が非常に高く、メンテナンスの必要がな
い優れた材料です。
この屋根の場合は嵌合たて平葺きという
方法で仕上げています。
外壁も同じくガルバリウム鋼板ですが角
波と呼ばれる形状の材料を使用していま
す。
材料を一枚ずつ壁面に押し当て、下地の
胴縁を目掛けて上からビス留めして貼り
付けます。
ガレージは車庫部分とホビースペース部
分の二つに分かれています。車庫部分の
入口には軽量シャッターを二枚取り付け
ました。
シャッターの横幅は全体で5メートルと
広く、余裕をもって車の出し入れが出来
ます。
ホビースペースの床にはビニル床タイル
を貼り付けました。白色と黒色の床タイ
ルを市松模様に仕上げています。
床タイルは45㎝の正方形で2色のタイ
ルを交互に並べ、コンクリート表面に接
着剤で貼り付けます。
車庫の床の仕上げは防塵塗料を使った塗
り床仕様としました。
下地調整の後プライマーを下塗りして乾
かし、その上から防塵塗料を2回上塗り
しています。さらに表面の強度を上げる
トップコート材を塗って最終仕上げとし
ています。
すべての工程が完了し、施主様ご家族の
一年越しの懸案だったガレージが無事竣
工の日を迎えました。
工事に入った当初は好天に恵まれ順調に
進みました。ただ後半からぐずついた天
気が続いて心配しましたが、どうにか約
束を守ることが出来ました。
ご家族の皆さんは建築工事に入った直後
からガレージが出来上がる様子を毎日の
ように写真に収めていました。
ガレージのカタチが次第に出来上がって
いく過程を興味津々で見学されていた様
子がとても印象に残りました。
竣工したガレージは皆さんの予想以上の
出来栄え、仕上がりだったようです。
「本当にありがとうございました」とお
礼の感謝の言葉を頂きました。
車庫の塗り床の赤とホビースペースの白
黒の市松模様が鮮やかなコントラストを
描いています。
施主様ご家族と親戚の皆さんが集って開
かれた竣工パーティの日、車庫には二台
の車がどんと置かれていました。
お父さんと息子さんの自慢の車です。い
ずれも旧型車ですが愛好家には垂涎の車
のようです。
ホビースペースにはフィギュアが入った
ガラスケースやルアーを入れたテーブル
が置いてありました。
奥の壁際にあるのは息子さんの大型バイ
クです。46年前の製造ですが今も現役
です。皆さんが夢にまで見たガレージラ
イフが今日から始まります。